Lean Baseball

No Engineering, No Baseball.

【読書感想文】ZERO to ONEを野球バカっぽく解釈してみた

春季キャンプまで待てない野球バカですこんばんは(二日ぶり二回目)。

前回のエントリーで年末年始休みにサッカー本を読んだよ!という感想文を書きましたが、もう一冊今度は真面目なビジネス本を読んだのでこちらの感想なんぞ書いてみようと思います。

Leanとは真逆の思想について触れた良著「ZERO to ONE」です!

最後の方に野球っぽい感想も書いたので(?)、そちらもお読み頂ければと思います。

ゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるか

ゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるか

どんな本?

今回もAmazonの内容紹介より抜粋して紹介したいと思います。

著者であるピーター・ティールの言葉です。

空飛ぶ車が欲しかったのに、 手にしたのは140 文字だ 「もし本気で長期的な人類の発展を望むなら、ただの140 文字や“永遠の15 分" を超えた未来について考えなければならない。ZERO to ONE はシリコンバレーを教科書に、難題を克服してこれまで存在し得なかった偉大な物事を築きあげるための本だ」

ちょこっと解釈して言うと、

  • 「空飛ぶ車が欲しい」という課題を突き詰める→本質的な課題と顧客を見つける→顧客の課題を140文字のSNSで解決しようとするのがLean Startup
  • 「空飛ぶ車が欲しい」という課題を本気で解決に走る→多くの金銭・人的リソースを投入し、「空飛ぶ車」を作り、そこに市場を作ろうとするのがZERO to ONE そんな言い方が出来ると思います。

そんな、「金と人を使って”空飛ぶ車(にあたる何か)”を作りなさい!」という考えや事例に触れた本がZERO to ONEです。

感想(真面目な方)

感想を一言で言うと、

Leanに対する疑問やWhyを上手くまとめた良著

という印象でした。読んでよかった本当に。

これはあくまでも私個人の思想なのですが、

  • そこに市場があるか(又は顧客がいるか)どうか怪しい
  • アーリーアダプターに壁打ちするorインフルエンサーにあたる人にリーチするようなアプローチが必要
  • そもそも掛けられるリソース(人・モノ・カネ)に限りがある

というシチュエーションではLeanなやり方(Lean Startupとか)が生きると思うんです。

ただ一方、

  • 市場は間違いなくある。または既存の市場である。
  • アーリーアダプターインフルエンサーにリーチする必要性が低い。マジョリティにいきなり刺さる可能性が高い
  • 潤沢、とまでは言わなくても掛けられるリソースに制約がほとんど存在しない

というシチュエーションではLeanなやり方を取るよりむしろZERO to ONEで説いている思想が正解なのかな、と思いました。

と、いう感想を抱いたのは、文中のこの一文がキッカケとなりました。

「リーンであること」は手段であって、目的じゃない。既存のものを少しずつ変えることで目の前のニーズには完璧に応えられても、それはグローバルな拡大は決して実現できない。

(Leanなやり方で)iPhoneでトイレットペーパーを注文するための最適なアプリを作ることは出来るだろう。でも、大胆な計画のない単なる反復は、ゼロから1を生み出さない。

この一言にLeanのいいところ・ダメな所が描かれているなと。

これに出会えただけでも読む価値がありました。

一方、疑問に感じた所としては、

  • 思想論に徹してる(方法論はゼロ)。でもまあリンスタみたいにやり方がある話でも無いのでそんなもんか。。。
  • ZERO to ONEにしろ、Leanにしろ、ソフトウェアはAgileに作ったほうが良いのでは?この本自体はリンスタと違い、ソフトウェアに特化した話ではないので触れてないけどこの編もう少し議論ポイントありそう。もちろん、ウォーターフォールなやり方の良さとも比べた上で。

このへんはあともう一度くらい読んでみて意見をまとめたいなと思っています。

感想(野球な方)

このまま普通に読書感想文を書いてもつまんないので、あえて野球で解釈してみます。

野球で解釈!といえばこれです。

なんでマネーボールかっていうと、大昔にLean Startupをマネーボールに置き換えて再解釈という、なんともまあ無謀な事をした事があるからです。*1

そんなマネーボールの第6章の冒頭に、こんな問いがあります。

あなたは4,000万ドル持っていて、野球選手を25人雇おうとしています。一方、あなたの敵は、すでに1億2,600万ドルを投資して25人の選手を雇ってあり、あとさらに1億ドルのゆとりを残しています。さて、あなたがこの敵と戦って、みっともない負け方をせずに済ますためには、手元の4,000万ドルをどのように使えばよいでしょうか?

これをマネーボール風に答えを出すと、

  • 過去の成績を振り返り、改善ポイントと思われる「仮説」を立てる(仮説=得点と失点の関係、打率より出塁率の方が得点との関係があるetc...)
  • 「自分たちの仮説に当てはめると優秀、でも他球団には目をつけられていない」という「安い・美味い」選手を4,000万ドルで集める

が答えになり、実際「あなた」にあたるアスレチックスはそれで勝ち星を積み重ねていて、そこが結構Leanな感じなわけですが、ZERO to ONE風に解釈すると、

  • 野球という市場を制するのはなんてったっていい選手
  • いい選手はカネで集めればいい(FAなど)
  • 勝ち星を金で買って野球を制する

という、「あなたの敵」が答えになるわけです。ちょっと前のヤンキース、現在のドジャースレッドソックスみたいに。*2

スイマセン、ちょっとふざけました。

ZERO to ONE、読もうかどうか悩んでる人は読むべきだし、LeanやAgileを見つめなおす意味でも結構いい本だと思います。

おやすみなさい。

*1:2年半くらい前のネタです。リーンスタートアップを野球で解釈してみた – 第8回企業内Lean Startup勉強会 レポート(3) | ManasLink ONLINE

*2:レッドソックスマネーボールなアプローチもしてるけど基本カネで勝利を買ってます。