ネット記事を読んで「おやおや?」って思ったので書きます。
ちょっとポエムっぽい内容ですがご容赦を。
9/15付、Yahoo!(というよりベースボールチャンネル)からオススメされた記事より。
この記事の内容に4割納得しつつ、6割納得いかない部分があったのでちょこっとだけ語りたいと思います。
ゴールデングラブ賞はデータで選ぶべきか印象で選ぶべきか?
- 結論-データで選ぶべき(なお、RFはあり得ない模様)
- RFと他の守備指標の比較
- 印象は本当に無視していいのか?
結論-データで選ぶべき(なお、RFはあり得ない模様)
長文を書いた後に結論書くのもアレなので、いきなり答え(というより私の考え)から。
- ゴールデングラブ賞はデータで選ぶべき!ただし、印象を隠し味程度に入れて欲しい
- データを使うなら、エラーとRF(レンジファクター)以外のデータを使うべき。
- ファンと審査員の「印象」も多少は考慮に入れるべき。何故なら守備はデータ「だけ」で追うことは今のところ不可能だから。
RFと他の守備指標の比較
まず、記事を見た時「え?」って思ったのが、
何故レンジファクター(RF)を中心に評価するん?
っていうところです。
レンジファクターは通称「アウト寄与率」とよばれる指標で、
「ある選手が1試合平均でいくつのアウトに関与したか」
を表す指標です。
RF(アウト寄与率) = (刺殺(アウトを取った数)+補殺(アウトをアシストした数)) ÷ 選手の守備出場イニング数 * 9
という式で算出されます。
スコアブックのデータを元に算出可能、捕球やタッチでアウトをとる「刺殺」、送球などでアウトをアシストする「補殺」をベースに算出するRFは一見すると正しい評価に見えるのですが、
- ある程度の守備範囲がある内外野の評価には向いているが、投手・捕手の評価はできない
- 直接的にアウトを取る・アシストする数以外は全く評価されない
- チームの投手が三振を奪うタイプか、それともゴロ・フライアウトが多いタイプかで数値が揺らぐ(≒チームの特性によって結果が揺らぐ)
- 途中出場が多いタイプの選手(つまり守備固め)の評価が難しい
という欠点があります。
得点能力なら出塁率・長打率・RC、投手の能力ならxFIP、K/9、BB/9、という感じで客観的な評価がある程度可能な野球ですが、
守備の評価についてはまだまだ進化中で現状は、
- UZR(Ultimate Zone Rating)
- 守備防御点(またはプラスマイナスシステム)
- DER(Defensive Efficiency Rating)
といった、ポジション・チーム・出場イニング数といった差を埋める指標を幾つか組み合わせつつ評価するのがいいのかな?と思っています。
意見は別れるところですが、少なくともRFだけで守備の優劣を決めるべきではありません。
印象は本当に無視していいのか?
一方、守備の評価全般で言うと以下の問題点があります。
- 守備位置やシフト、ボールを取るまでに走った距離等は指標に取り込まれていない
- 集計方法の関係上、シーズン・年度を跨いだ評価が出来ない
- そもそも集計・算出方法が煩雑で何をもってして「素晴らしい守備か」を評価することが難しい
これらはMLBを中心に導入が進んでいる、複数のカメラで選手のプレーを撮影して評価する「トラッキングシステム」によってある程度の解消は可能ですが、このシステムが日本に入るまでには数年必要だろうなという現状を考えると、
- セイバーメトリクスのみで守備の評価は現実的ではない
- 客観的に測れないプレーはやっぱり見た目の印象も考慮に入れるべき
という視点も入るんじゃないかと思っています。
この辺は私の中でもまだ整理は出来ていませんが、現状では、
- UZR、守備防御点といった、客観的かつある程度の雰囲気がつかめる指標をベースにゴールデングラブ賞の候補をピックアップ
- とはいえ、メトリクスだけでは不十分なので一試合一プレーの印象(≒記者やファンの声)を考慮にいれるべき
というのが今のところのゴールデングラブ賞を選ぶベストプラクティスじゃないかな?っと思っています。
思ったより普通のオチになりましたw
少なくとも、ギータのGGはナシにしてほしいなあ。。。*1