Lean Baseball

No Engineering, No Baseball.

毎年更新している職務経歴書を生成AIに読ませた結果, 有益なフィードバックをもらった.

※刺激的なタイトルのブログですが, あくまで個人の実験で何かのアクションをこれからするわけではありません(特に現職関係者の方は驚かないでね).

G1それも限られた条件*1のみ馬券を買うマンです. 今年は謎に調子がいいです*2.

ちょこっと昔(2023年)の話&最近縁あって再演させていただいた「自らを強いエンジニアにするための3つの習慣」という自分のエンジニアなキャリアの半生記っぽい話があって, 特にこの話を強めにさせてもらいました.

CV(Curriculum Vitae, 職務経歴書)を常に更新しよう, 絶対に.

shinyorkeが強いのか弱いのか, 3つの習慣(職歴を書く, 強いエンジニアを真似る, 代表作を持つ)は本当に大事なのかは個々人の意見に委ねるにしても.

転職をする/しない関係なく, 「自分の経歴, 歴史」と言える「職務経歴書」を更新する大切さは絶対に譲れないと強く思っています(少なくとも私を含めた大多数の方は*3).

最近色々バタバタしていて, うっかり職歴の更新をサボっていた(gitの履歴をみたらほぼ一年放置してました)のですが更新してから思いました.

ワイの職歴を生成AIに渡したらどういうフィードバックが来るんだろ🤔

幸いにも私の職歴はmarkdownという, AIリーダブル(マシンリーダブルかな)なフォーマットで記載しており, 早速試してみました.

TL;DR

GeminiとClaudeのアドバイスがマジで使えそうな感じがしたので, AIフィードバックの仕組みを育ててもいいかもと思った(ただし万人に役立つかは知らない).

免責事項

現職のみなさんが慌てないように, これだけは明言します.

「2025/11/8(このブログの執筆時点)において転職活動等を目的とした営みではない, あくまでも実験である」前提となっています.

そこにmarkdownの職歴があったのでやった, ただそれだけです.

AIに職歴を渡しコメントを貰う

というわけでAIに頑張ってもらうことにしました.

やったことは超シンプル

やったことはこれだけです.

  1. 職歴を用意する
  2. 前提となる設定・コンテキストを渡す
  3. ひたすらChat

なお使ったAIは

  • ChatGPT(GPT5)
  • Gemini(2.5Flash)
  • Claude(Opus 4.1 / Sonnet 4.5 / Haiku 4.5)

以上となります.

1. 職歴を用意する

今回の実験における主たるプロンプトとなります.

2019年(前々職に転職したとき)からずっと使っているmarkdown形式の独自の職歴*4があるのでこちらを利用します.

残念ながらお見せすることはできませんが,

  • 会社歴・転職歴
  • 自分のキャリアのサマリー. ちなみに顧客名は一切入れていません.
  • 各会社でやったこと
  • 登壇・執筆・ブログの実績(ちょっとしたポートフォリオ)
  • 基本情報(年齢・学歴など)

を記載した20,000文字程度のmarkdownテキストとなります.

なお, markdownじゃなくてもwordなりpdfなりAIサービスで読み取れるものなら何でも良い気がしますが試していません*5.

2. 前提となる設定をする

AIにどのように振る舞ってほしいかの設定, すなわちコンテキストを渡します.

私は「世界トップクラスの企業で勤めているハイクラスのエンジニアから私はどう見えるか?」の意見が欲しかったのでこんな感じにしました.

  • フィードバックを行う際は根拠となる経験・実績を提示した上で、推奨するアクションも合わせて提示してください。
  • 質問への受け答えですが、常に「GoogleやAnthropic、Amazonといった世界を代表するAI・クラウド企業のスペシャリストなエンジニア」であることを意識して答えてください。私はそのような強い方からフィードバックをもらいたいです。

どのAIを使うときもこの前提を使いました.

この辺も真似する方は対象を変えると良いと思います.

3. ひたすらChatで会話

あとはただ話すだけ.

あとはひたすら会話です.

最初の一言はこちらで統一しました.

つい最近までの仕事の経歴を添付ファイルに記載しました。サマリーと感想を聞かせてください。

サマリーと感想を出してもらったうえで, 内容にそって聞きたいことを確認します.

結果

というわけでやってみました.

  • ChatGPT(GPT5)
  • Gemini(2.5Flash)
  • Claude(Opus 4.1 / Sonnet 4.5 / Haiku 4.5)

それぞれの結果を見てみましょう.

ChatGPT

シュッとした要約力は良かったのですが色々微妙でした.

まず職歴のサマリーはこんな感じです.

書いてないことに言及してた

オブザーバビリティの導入はさほどやったこと無いんですよね... Opsgenie, Grafana, Cloud Monitoring は職歴に一つも書いていない.

一方で要約は読みやすく良かった感あります, 若干SREに偏りがありますが...

そして感想とアドバイスがこちら.

まさかのアウトプット不足を指摘される

言ってることは大体合っていそうなのですが, 技術ブログやOSS活動など外部発信の強化 は流石に的はずれなコメントでした.

なおアウトプットの件は職歴にしっかり記載しています.

職歴にしっかり書いてますの巻

Gemini

手堅いかつ的確なアドバイスを貰えた. 視座がしっかりしている印象.

渡したプロンプトはこんな感じです.

サマリーですが, ほぼそのまま使えるぐらいの完成度で事実ベースで語られていました.

事情により一部ぼかしていますがすべて正しいこと言ってる.

アドバイスは2つほどありましたがいずれも納得感があり, 戦略的で自分好みでした.

もらったアドバイスが的確(1個だけ公開, 残り1個は内緒ですが良かった)

ハルシネーションと見えるところも案外少なく, 結構手堅く使えそうと思いました.

Claude

全体的に良き. 選択するモデルによって個性があり, 多角的に見てもらうのに良さそう.

最初Sonnet 4.5でやったあと(こちらも結果は上出来でした), 気になったので他のモデルでもやりました.

ちなみに条件はすべて一緒です.

スタートはすべてこれ

Sonnet 4.5

納得感のある安定した回答とやり取りができた.

まずサマリーが手堅い感じでした.

「それはそう」という完成度

感想は他のAI含めて一番良かったかもしれません.

言い方は盛ってますが事実ベースなので正しい.

アドバイスも比較的的確でした.

この辺は割と的確で良かった.

全般的に盛っているというか褒めてくるあたりは一抹の不安を感じますが...w

やってて気持ちよかったのは確かです.

Opus 4.1

Sonnet 4.5と比べて要約感がすごい&改善点と提言が最も説得力あった.

出してる内容の雰囲気はGPT5に似ていますが, Opus4.1の方がより事実ベースで安心できました.

サマリーはシュッとしてました.

感想は盛ってる感ありますが正しい&Sonnet 4.5よりはマシな印象でした.

結構的確でした.

そして改善点と提言がめちゃ良かったです.

これはちゃんと相手の立場に立ってる感ある.

人間相手の1on1(職場の上司やキャリアアドバイザーなど)とは若干視点が異なる, どちらかといえば「自分が薄々思ってたけどこれどうなん?」文脈でのアドバイスは良かったです.

「SME*6として認知される」は自分のキャリアの軸として大切にしている(割にはこの辺の言及は案外少ない)ので嬉しかったです.

Haiku 4.5

いい意味で雑というか塩対応っぽい, 率直な意見を具申してくれる.

盛ってくる(褒めてくる)Sonnet 4.5とは対極だなと思いました.

25年を振り返ってくれた率直なサマリー

サマリーは率直でした.

強みをしっかり言語化

強みもしっかり言語化されています.

課題・提言は辛辣かつ, 最も的確だった気がします.

読んだときに背筋が伸びました.

Claudeの他2つのモデルと比べると若干ハルシネーションが気になりますが, 辛辣に言ってほしかったり真の課題を掘りたい人はこのモデルを使うと良さそうです.

結び

「毎年更新している職務経歴書を生成AIに読ませた結果, 有益なフィードバックをもらった.」というテーマで,

  • 職務経歴書を生成AIに預ける
  • 各モデルの比較

以上をやってみました. 本当, 自分のためになった感あったのと時間あるときにもうちょっとやり方を工夫していい感じにしようと思いました.

一方, 「AIだけだと危険だよ」って意味でもこの話をして終わります.

  • AIはあくまでもセカンドオピニオン
  • 人の話も聞こう

AIはセカンドオピニオン

(使い方にも寄りますが)多少の偏りはあるのでセカンドオピニオンだよ!ぐらいに考えよう.

今回は以下の質問に特化しました.

つい最近までの仕事の経歴を添付ファイルに記載しました。サマリーと感想を聞かせてください。

個人的には感想の中に「いやエンジニアよりソリューションエンジニアとかどうすか」みたいな提言も欲しかったのですがそのような提言はほぼありませんでした.

前提として,

常に「GoogleやAnthropic、Amazonといった世界を代表するAI・クラウド企業のスペシャリストなエンジニア」であることを意識

上記を元に答えよ, と定義づけちゃったのでバイアスかかった説もあります.

ちなみにChatで追加で聞いたらいい感じに答えてくれました.

聞いたら答えてくれた

人の話も聞こう

AIでいい感じだからといって, チーム・マネージャーの1on1がいらないかと言われるとそこは違う. 人の話めっちゃ重要.

「上長が微妙だからAIに」という気持ちもわからなくは無いものの(ちなみに今の自分はそうじゃないしむしろ逆で頼りにしまくっています), 「AIが言ってくれない話」をちゃんとしてくれる人とチームとの対話は滅茶苦茶重要.

「人じゃなくて客観的にAIのセカンドオピニオンを」が成立するのはせいぜい「キャリアアドバイザー(転職エージェント)が微妙だからAIと話す」ぐらいが限度かなと思います, それでも現時点ではAIのキャリアアドバイスより優秀な転職エージェントの方がイケてる局面はありそうですが...

今回の実験通り, 盛ったり褒めたりしてくるモデルに遭遇してそのAIだけ信用するとかなり危険な気もしますので人はめっちゃ重要です.

という感想と示唆をもってこのエントリーを終えたいと思います.

最後までお読みいただきありがとうございました.

*1:「JRAの芝レース限定(ダート, 地方, 海外は買わない)」「1200m以下はケン, 1600m以上なら買う」「2歳戦は不確定要素多いため自信があるときのみ買う」

*2:春秋の天皇賞, 日本ダービー, 菊花賞の的中でいい感じにプラス.

*3:職歴でなにかっていうまでもなく関係ない人もいると思いますが経営者とか有名すぎる方とかそれぐらいかなと.

*4:ちなみに実際の転職活動ではこれをPDFに出力して利用しています.

*5:個人的には試す理由が無いため(原資がmarkdownなので). 誰かやってみてください.

*6:Subject Matter Expert, そのまま訳すと「主題専門家」の事. エンジニアの場合, 「フロントエンドのエキスパート」「パブリッククラウドの専門家」みたいなタグ付けと思ってくれれば良さそう&ICやStaff Engineerになるための条件とも言える.