文脈的には「誕生日迎えましたやでー」という前回エントリーの続きです.
まず報告ですが,
今日がJX通信社最後の出社でした。
— Shinichi Nakagawa / 中川 伸一 / Senior Engineer (@shinyorke) 2021年9月10日
今月いっぱい休んで次に備えます。
データ基盤からAIワクチン接種予測から何から何まで最高のお仕事を最高のチームでさせてもらいました!
おせわになりました&shinyorke先生の次回作にご期待ください pic.twitter.com/hlJlsHeIMW
先日, JX通信社での最後の仕事を終え, 9月末で退職することになりました.
今月残りの期間は有給休暇を消化し,
10月から外資コンサルタント企業(社名は公開しません)のエンジニア部門のマネージャーとして新たな挑戦をします.*1
このキャリアを決断したのが7月末(今から一ヶ月ちょい前)で退職を申し出たのが8月初週で一見するとめちゃくちゃ慌ただしく見えると思うのですが,
私としては半年近く考えていたキャリアプランと新たにやりたいことがあり, その上での決断となりました.
このエントリーはそんな話です.
おしながき
JX通信社での2年間
JX通信社に入社したのは2019年10月で, 在籍期間としてはちょうど2年ということになります.
前職(野球エンジニアの件)からのやりたいことが変貌し,
- 基盤からデータサイエンスを扱う機械学習エンジニア兼SRE
- スクラムマスターとか採用とか組織マネジメントみたいなのもプロフェッショナルとして何でもやる
というシニアエンジニア像を持ちながら転職活動をして出会ったのがJX通信社でした.
そんなJX通信社での2年間のお仕事ですが,
- 全社的なデータ基盤の企画・構築・運用からデータ活用
- データ分析屋さんとして, グロースハック的な仕事
- NewsDigestの期間限定コンテンツとして, 「AIワクチン接種予測」の企画〜開発〜サービス終了までプロダクトマネージャー兼エンジニアとして完走
- プロダクトへの実装・装着を前提としたR&D
- 採用・技術広報(登壇やブログなど)
と, 当初描いていた仕事はもちろんのこと, プロダクトマネージャーやR&Dなど, 当初想定してなかったミッションまでやらせてもらいました.
これは, 入社から卒業までずっと私の上長だった@YAMITZKYさんをはじめ, 周りの協力や理解, サポートがめっちゃあったのでいい感じに行ったのかなと思います.
ホントにいいチームでいい仕事ができた, 最高の2年間でした.
大きな仕事とその後思った・考えたこと
そんな意味では仕事も楽しくてチームとしても大好きなベンチャーであるJX通信社にずっといてもいいかなと?と考えはじめていましたが, 一方で
シニアとしての俺, これから何をしたいんだったっけ?🤔
と考えるようになりました, 悩んだっていうより考えたって感じです.
そんな事を考える大きなきっかけとなったのが, 昨年(2020)末から企画・プロトタイプの開発がスタートし, 今年の2月にサービスとして公開された「AIワクチン接種予測」という大きな仕事でした.
企画・プロトタイプ開発から本リリース(&サービス終了)までエンジニア・データサイエンティストとして常に中心にいた(開発責任者・プロダクトマネージャーという立ち位置でした)事により, 数々の修羅場だったり経験だったりというのを積ませてもらいました.
前回エントリーで,
この仕事でエンジニアそしてビジネスマンなshinyorkeとしての価値観・大切にしたいことにも影響を与えたという意味でも一生忘れられない仕事なんじゃないかと思います.
なんて言ったのですが, これはホントそのとおりで,
- 最初はぼんやりと「プロトタイプ作っていい感じにうまく行ったらそのまま開発するんだろうな」と思っていた.
- が, プロトタイプを代表(@kyoneshige)に見せたらあれよあれよと言う間にプロジェクトとして爆誕
- CXOの@healthyboy5氏から, 「プロダクトマネージャー的な役割は中川さんよろしく」と指名される -> ワイ, 若干不安も引き受ける
責任者に指名されてから, 公開直後のTVに出まくった件までの2ヶ月間はホントに無になってやりきった感がありますし, プロダクトマネージャーとしては初めて結果らしい結果が出た*2のでホントよかったです, 指名してくれた細野さん・信じてくださった米重さんそしてAIワクチン接種予測のチームには本当に感謝です🙏
一方で, 落ち着いたタイミング(多分今年のGWあたり)でこのような心境の変化が生まれました.
- プロダクトマネージャーってワイがホントにやりたい仕事だったっけ? スキル的には努力したらやれると思うけど, 今後もやりたい仕事かと言われたらそれは怪しいかもしれない🤔
- 「AIプロジェクトのPoC(概念実証)からMVP(Minimum Viable Product)作り」「MVPなモノをスケール可能な状態に育てる」をやっていくような 仕事をエンジニアな側面からやるのは私めちゃくちゃ好きかつ得意と再認識. PoCをStreamlitで雑に作る所から, 本番のTV砲に耐えきるところまで一貫してやりきったのは大きな自信につながった.
- 「プロダクトありきのベンチャー・事業会社」じゃなくて, 「エンジニアリング・技術のプロフェッショナルとして突き詰めてやっていくような会社」でキャリアを積むのもアリなのでは?
JX通信社の雰囲気やフェーズ, 仕事の面白みはあれど, この辺で見聞を広めるのもよかろうという結論にいたり, 幾つか声をかけてくれた所や気になった所でカジュアル面談をちょいちょいするようになりました.
シニアエンジニアが再びコンサルに戻った理由
幾つかの会社さんとお話して, 情報を集めたり整理したりした結果,
- メーカー・製造業のDX推進的なチーム・部署の責任者・リードエンジニア(ソフトウェアエンジニアとして)*3
- ある程度規模が大きいコンサルタント企業のエンジニア部門のシニアアソシエイト〜マネージャーぐらいのポジション
がやりたいことに最もリーチできそう(&希望する待遇的にもその辺が妥当だろう*4)ということで探した結果, 某外資コンサルタント企業の技術部門のマネージャーとしてのオファーを頂き, 受けることとしました.
このブログを始めた当初(2014)はまだコンサルタントだったので, 約7年ぶりにコンサルタントに戻ることになります.
八重洲のWebサービス屋さん(リクルート)から, ビザスク, Retty, 野球の会社(ネクストベース), そしてJX通信社と5社5様な仕事やカルチャーを経験し, 沢山の学びを得たのですが,
俺がやりたいことは今の会社じゃできない、飛び出さなきゃ。
と, 7年ぶりにこのセリフを使うことになるとは思いませんでした.
Webな事業をする会社のエンジニアから再びコンサルの世界に戻る
理由は幾つかあるのですが, 大きく分けるとこの2つになります.
- シニアなエンジニアとして次のステージに進むため, もっと大きい仕事をしたい
- 「エンジニア採用難しい」問題を「コンサルタント・SIer的な視点」から解決を促したい
シニアなエンジニアの次のステージへ
これは2, 3年後「アラフォーからアラフィフに変わる節目」あたりでなりたい自分を考えたときに,
- ある程度の規模(ベンチャーでもトラディショナルな企業でも)の会社のCTOやCDO(Chief Digital Officer)として牽引する役割をやりたい
- 企業に属せず, フリーランスもしくは自分で会社を立ててプロフェッショナル・サービス的なノリで経営課題や事業課題をシニアなエンジニアとして解決していきたい
- 次はGAFA+Mのどこかに行っちゃう?*5
と思っています, 思っているだけで途中変わるかもしれませんが.
そうなったときに, ベンチャーな規模で培ってきたエンジニアリング(まさにAIワクチン接種予測でやったような爆速PoCから適切にスケールするようなプロジェクトの切り盛り)だけでは足りないなと思っていて,
- ベンチャーでは取り扱えなような規模の案件をエンジニアな責任者として回す
- もちろん, プレーヤーとしてもコードをガンガン書いて解決していく
という仕事を「現職よりももっとデカい規模・社会的にもよりインパクトがある」感じにやっていきたいなと思っています.
次の行き先のミッションがまさにそれ(細かい話は言えませんが)になりますし, 日本だけじゃなくてグローバルにも突っ込めるので楽しみがあります(なお私の英語力(ry).
自分の仕事でお客様から仕事が取れるようになるぐらいまでチャレンジしていけたら多分次の事も見えるんじゃないかなって思います.
「エンジニア採用」を外から解決したい
これはちょっとぼんやりとしている&あくまで「シニアなエンジニアの次のステージ」の副次的なミッションです.
次の自分の仕事が「エンジニア部門のマネージャー」なのですが, コンサルタント企業のマネージャーの仕事は,
- 予実管理とか, いわゆる一般的なマネージャーの仕事
- 専門職・コンサルタントとしてメンバーを育成する
- 育成したメンバーを案件に供給していくことでクライアントに価値提供する
ような感じになります(すごく雑に言うと)
「大きな仕事」をするためには, 多種多様なバックグラウンドのメンバー*6が沢山育って活躍してくれないといけなくて, 「育成」というのは非常に大事な役割になると思っています&以前のコンサル時代も(マネージャーじゃなかったですが)メンバーを育てて仕事を取るような事をしていたので個人的な実感としても大事だと思っています.
これから所属する会社への貢献という意味でも大事な仕事なのですが, 私としてはもうちょっと違う視点もあって,
「エンジニア採用に苦しむぐらいならもっとカジュアルにSIerとかコンサル, 外注に頼ってみては?」
という「ホントに内製化って必要ですか?」っていう問題提起からエンジニア採用のあるべき姿を再定義したいと思っています.
- エンジニア・リソースってそもそも限界がある. 実践的にできるエンジニアは独学やプログラミングスクール・教育「だけ」では育たたない.
- 「要件を言ったらいい感じにやってくれる」ような(ベンチャー・大企業問わず)事業会社で必要なエンジニアはレアメタルどころじゃない奪い合い.
- 「内製化は大事やで」って多くの方が言ってる割にはここ最近, 副業やお試し入社が流行ってませんか???*7
というあたりを考えると, 「何だったらコンサルとかSIerで修行してから好きなことをやる」「エンジニア・リソースを供給する側として色んな所で価値を出す」仕事をこのタイミングで再びやりつつ, この辺の課題を解けると面白いなって思っています.
この辺は仕事をやりながら考えをまとめつつも, いろんな方の意見も伺いたいところです.
42歳シニアエンジニアの大冒険のはじまり
というわけで, ここ2-3年でやりたいことを中心に転職の報告でした.
次のステージは非常に楽しみがある一方, JX通信社を離れる辛みも正直あります.
shinyorke氏は, 社内での退職報告の席に座ったときから目は潤み、
心境を聞かれると「つらいです。JX通信社が好きだから…」と声を詰まらせ、
悩みぬいた末の苦渋の決断であることをうかがわせた。
という, 3分34秒の時間が社内であったとかなかったとか.
チームとしては卒業という形になりましたが, JX通信社の面々とは今後も一緒に遊んだり機会あればイベントや勉強会が一緒にできたらとおもいます.
そしてこの二年間で圧倒的に成長を遂げたテックブログや登壇イベント(JX Press Tech Talk)も, 今度は客として楽しみたいと思います.
週末は早速イベントで冷やかしに行きますし, 9/30のBPStudyも楽しみにしております.
今後のキャリアの予定もありますが, 2-3年後のJX通信社が自分を必要とするようなことがあったら戻りたいなと本気で思っています, 声がかかるように引き続き強くやっていきます.
42歳シニアエンジニアの大冒険のはじまり
乞うご期待ください.
最後になりましたが, 改めましてJX通信社の皆様には本当にお世話になりました!
次行くチームでもしっかりやっていくぞ💪
*1:何人かにはお話してますが, 時が来るまでは内緒でおねがいします🤫
*2:プロダクトマネージャー経験は過去にも何回かあったのですが散々な結果だったので, AIワクチン接種予測で指名されるまでは自分の方から意図的に避けるようなキャリアの積み方をしてました.
*3:より具体的には自動車や重工業的な会社に狙いを定めていました
*4:ちなみにJX通信社の待遇は非常に満足が行くもの(社内的にも市場的にも正当な評価だったと思っています)で, こちらでいう「希望する待遇」というのは「新しい行き先の責任あるポジションならそれ相応の金額は狙わないと」というニュアンスになります, つまり安売りはしたくなかった.
*5:ちなみにこの中の数社からもオファーを頂きましたが, 今やりたいこととは合わなかったのでそっ閉じしました
*6:これはスタンスや文化の多様性って意味もありますが, 良くも悪くもITスキルやビジネス的なマインドなども含みます.
*7:これは特定の会社(JX通信社を含む)を責める・文句を言うつもりはないのですが, 「内製化って一体何?」って意味で色んな意味でアイデンティティが崩壊してません?って思ってます. 一方, ビザスクにいた事ある身としては働き方が増えたのはホントいいなって思っています.