Lean Baseball

No Engineering, No Baseball.

"自分のために書いたブログ"が結果的に人の助けになる - 私が技術ブログを書き続けるモチベーションとその背景

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こういう話です

昨日(4/26)の話になりますが, 週刊はてなブログの企画「エンジニアのブログ探訪」で“ブログを書き続けること #とは ”をテーマに受けたインタビューが公開されました.

blog.hatenablog.com

はてなブログおよびその周りの関係者および, インタビューのレビュー・フィードバックにお付き合い頂いた同僚・友人の皆様のお陰で無事公開できました.

ありがとうございます!

個人的には, 「エンジニアのブログ探訪」がメチャクチャ好きな企画でして*1, いつの日か声がかからないかな?と思っていたら思ったより早くオファーを頂きびっくりしました.

blog.hatenablog.com

企画の存在を初めて知った方はぜひ読んでみてください, 私を含めて四者四様な内容(かつ軸はどこか似ている)で面白いと思います.

そんなインタビューを受けてのこのエントリーですが,

を雑に書きます(言うたらポエムです).

「このブログでは技術・野球・キャリア以外は原則書かない」

のお約束で言うとこのエントリーは主に「キャリア」の話となります.

"全世界に公開していいメモ帳" はその通りだが...!?

まず, 今回のインタビューのタイトルについて.

“全世界に公開していいメモ帳”のスタンスで書くブログが誰かの助けになる

これは私がつけたタイトルではなく, インタビューを読んだ(今更ですがインタビューはメール文面を通じて行いました)中の人たちが一生懸命考えてつけてくれたタイトルです.

自分では絶対につけないタイプのタイトルなので, 面白いですしグッと来ました*2. 素敵なタイトルをありがとうございます!

ブログを始めたきっかけと, 書き続けた後にあった事を元に凄くいい感じに要約してくれたって感じです.

インタビューにはすべて正直に答えたので, 「全世界に公開していいメモ帳としてブログを始めた」「結果的に読んでくれた方の役に立った・キャリアに影響している」という話はすべて実話でして.

ブログを読んでくださった方の感想で「記事を参考に勉強した結果エンジニアになれました」「学習の参考になりました、仕事にできそうです」などのフィードバックをいただくこともあります。

実際にこういう事は何回かありましたし, 現職のJX通信社では「中川のブログを元々読んでいて」的なモノがキッカケで応募・JOINされた方もいます.

求められるものは「いい感じに」 卒業生がJX通信社でのインターンを振り返る | JX通信社

学生エンジニアの「あるある探検隊」 ぶっちゃけJX通信社ってどうですか?エンジニアインターン2人に聞いた | JX通信社

これでJOINしたインターンの皆さんはホント活躍してくれましたし, 自分の仕事も幾度となく救っていただきました(感謝)

ただ, これはブログを書いた本人からすると, 「学生さんや若い人が読んで自分の仕事を手伝うようになってくれないかな」的なを狙ったわけでもなく(狙えるはずもなく)*3.

あくまでも, 「自分のために書いたブログがラッキーな事に人のキャリアに繋がった」ぐらいの認識です.

なので, もし今回のインタビュー「中川がタイトルをつけていいよ!」と言われたらきっとこういうタイトルをつけてると思います.

"自分のために書いたブログ"が結果的に人の助けになる - 私が技術ブログを書き続けるモチベーションとその背景

このエントリーのタイトルそのままです笑

"自分のために書いたブログ"が自分に残したもの

「自分のために書いたブログ」はいくつか意味があって,

  • 技術的にハマった・わからなかったけど解決したことを忘れないようにメモする
  • 読んで感銘を受けた・色々考えた本について, 今のお気持ちとともにスナップショットとして残す
  • イベント(PyCon JP, デブサミ他)登壇前後の状況や心境, 振り返りを残すことにより未来の自分に役立てるようにする

という意味があります.

また, このブログをはじめた当初(2014年)はITコンサルタントをやっていて, とてもじゃないけど仕事(お客様)の事は書けなかったので,

将来の仕事に活きるような勉強のログ・記録を残そう

というモチベーションもありました.

これらは(仕事さえ絡まなければ)「自分事」かつ, 誰の許可もいらず自分がいいと思えば公開できるものなので, 気楽に書けるかつ結果的に「読んだ誰かの助け」になったと思います.

この判断と思いは今思えば大正解で,

  • 仕事の選択
  • やったこと・出来ることの証明
  • 技術力の裏付け

といったところで自分自身の助けとなり, 自分のためになったりしました.

仕事の選択をできるようになった(主に転職)

これはブログだけでなく登壇も含んだりますが,

自分がやりたい仕事(行きたい会社)に行くのに, アウトプットは相当大事な役割を果たします.

ブログを書き始めて今日までの6年間で5回の転職を経験したのですが、いずれもブログや他のアウトプット(登壇など)の成果や経験が生きました。

インタビューではこの話題を「野球エンジニアになった件」で軽く流しましたがもうちょっとちゃんと言うと,

  • 転職活動で自分が折れるような「妥協」を一度もすることなくスンナリ決まった.
  • その時々で「経験を積みたい」と思った仕事がすべてできた. エンジニアリングマネージャー, CTO, データサイエンス, 採用などなど.
  • 待遇(主に給料)もすべての転職先で希望条件をキメた.

ブログをスタートして今日までの間の転職(現職へのJOINも含めます)でここまで上手くいったのは本業もちゃんとやってることもあるのですが, 課外活動としてのブログ・アウトプットがかなり大きかったんじゃないかと思います.

ブログ執筆や個人開発でエンジニアとしての基礎体力を, 登壇でプレゼン力とバランス良く鍛えられた成果がこの辺に出てくるのかなと.

やったこと・出来ることの証明

一度ブログに書いたり登壇したりすると記事そのものやスライドといった成果物が残ります.

これにさらに,

  • はてブ
  • SNSのlikeとかRT
  • これらにくっついて来るコメント

で「やったこと・話したことに対する証明」ができるようになります.

たくさん貯まるとこれがそのまま「信頼貯金」みたいな役割を果たすので, 「私はPython得意です」「機械学習でいい感じにできます」というのも, 客観的なFACTベースで話せます.

...とわかると, ブログや登壇, 仕事のプレゼンでも自然と自信がつくのでこの効果はメチャクチャ大きいなと思ってます.

技術力とその裏付け

「やったこと・出来ることの証明」にも通じるのですが,

  • ブログとして残ってる以上, 読む人が読めば技術レベルがわかる
  • 口頭で「できます」というより信頼度が高い
  • 一緒にGithubでコードが残っていればなおのこと

これは最近結構感じることが多くて,

  • 初めて会う人(主にエンジニア・データサイエンティスト系)がブログ記事をキッカケに話してくれるのですごく楽*4
  • イベント登壇のお誘い, 技術本のレビューが回ってくる*5
  • ブログを読んだ若い学生さんがJX通信社に応募してくれる(前述のエピソード)

これらはブログ・登壇を通じたアウトプットが信用されてるからだと思っています.

この信頼に応えないと, という意味では常に背中がしゃんと伸びる(しっかり真摯にやらないとってなる)のも副次的効果としてあってホントいいなと思っています.

"アウトプットをはじめよう!"と思ったエンジニアに言いたい

エンジニアに限らずデータサイエンティストとか他の職種の方も同様っちゃ同様ですが.

今回のインタビューやこのエントリーを読んだ方は多分おそらく,

  • 久々にブログ書こうかな
  • 今までアウトプットしていなかったけどやろうかな

とか考える方が多いのかなと想像しています.

「ひと言アドバイスを」ともし言われたらこう言うと思います.

「自分のために没頭してやっちゃおうぜ(他の人は気にしないで)」

自分の世界を作る(自分のためにやる)

これはインタビューで触れたこれのことです.

  • エンジニア(データサイエンティスト)として何か好きなことを全力でやる
  • 好きなことをプロダクトにしたり、外で発表したりする
  • 全力でやったこと、プロダクトのこと、発表したことをテーマ別に書いてみる

趣味でも好きな技術でもなんでもいいです, のめり込んだ人が勝ちです.

仕事やチーム作業は守るべきルール・制約がありますが, 「個人開発」や「ブログのためになんかやる」事は(社会的にNGな事じゃない限り)自分の自由であり自分の世界でもあります.

かつ, のめり込んでやり続けるといつか仕事に繋がる(お金になる)のでメチャクチャおすすめです.

ちょっと昔のエピソードなのですが, 私が「野球データサイエンス」「野球×Python」を一生懸命やってた時期, 発表や内容で肯定的なフィードバックがあった一方,

  • その情熱を仕事に当てればもっとすごいことになるのにもったいない
  • 趣味でそこまでやります?
  • やってることの意味がイマイチ(ry

みたいな助言(?)もたくさんありました.

が, これらの声は「野球エンジニアになった件」が表になった途端パッタリ止みました.*6

信じてやってきたことがある日突然花開くことはあるので, 「自分のために楽しく」世界を作ってやるのを強くオススメします.

書くことそのものより, 続けることを意識する

これは断言できるのですが,

ブログを書く(アウトプットを出す)のを一回で満足せず, 続けて出し続けることが大事

です.

「書くことを目的」じゃなくて, 「続けることを目的」にするぐらいの意識で丁度いいです.

続けて書くことで,

  • ブログ・文章を書く筋力が付く
  • 徐々に読んでくれる人が増える
  • 読んでくれた人からフィードバックを貰う機会が増える

効果がありますし, 文章も洗練されます.

ドキュメント力を鍛える筋トレだと思いながらやるとなおいいかも.*7

他の人・他のブログを気にしない

具体的にはこれです.

  • 自分が書くことってみんな知ってることなのでは?
  • 私のレベルでブログを書いて大丈夫だろうか?
  • 公開してから叩かれないか不安

全部気にしちゃ駄目です, 自分が書きたいことを素直に書いていいと思います.

他者や技術をDisる, 煽るような内容じゃなければレベルとかテーマとかを縛る理由なんぞありません.

「なんかよくわからんけど書いたから出しちゃえ」ぐらいのゆるい気持ちでやっちゃうのがベストだと思います.

自分の話(インタビューより抜粋)なのですが,

ブログの企画やネタ探しで、特定のブログやエンジニアの記事を参考にすることは全くと言っていいほどありません

これは勿論ホントの話で,

  • 企業の技術ブログを含めて色んなブログは読む事には読む
  • 読んでていいなと思うブログにはてブやlikeを押す
  • が, 「自分のブログでやろう」と考えることはほとんどない. あくまで読んで面白かったというinputで終わる.

感じです, 自分のブログには自分じゃないと出せない空気(芸風)があるのでって所もありますが...

評判という「余所事」ではなく, 自分の世界という「自分事」にフォーカスを合わせたほうが絶対幸せやぞ.

結び - もっとアウトプットを出していく機会を増やしていきたい

というわけで, "自分のために書いたブログ"が結果的に人の助けになるという番外編でした.

これを書こうと思ったのは, 自分のお気持ち整理だったり, 今日この瞬間のスナップショットを残したいというモチベーションだったりします.

今年で42歳, 3年後は45歳に加えてこのブログが続けば10年になります.

来年, 再来年, 3年後にこれをどういう気持ちで読み返すか今から楽しみです. コロナもきっと落ち着いてるでしょうし.

というのと, 「成長したいエンジニア・データサイエンティスト」に対して「アウトプットの機会を増やす」ような事がしたいとも思っています.

インタビューとこのエントリーで色々書いたのも「アウトプットへの障壁」が少しでも下がれば(アウトプット美味しそうじゃん!とヤル気持ちが生まれたら)嬉しいなとも思っています.

ここまで読んでくださった方で「ノウハウが知りたい」「もっとこの話が聞きたい」的なフィードバックがあれば何かしらの方法で伝えてもらえれば書く可能性があります.

最後に宣伝を.

私が所属するJX通信社では対外的にアウトプットをする機会として「JX Press Tech Talk」というイベントをやったりしようとしてます.

jxpress.connpass.com

この会は裏方としてアウトプットする仲間たちと来てくださる皆様が楽しめるように頑張りたいと思います.

最後, 宣伝で終わっちゃってアレですがポエムは以上です.

GWはぜひアウトプットやってみましょう!

*1:理由は明確で, 強いエンジニアの考え方やスタンス, 習慣を「技術ブログ」をテーマに垣間見ることができるからです. いい企画ですよこれ.

*2:&ちょっと恥ずかしいなと思いました笑

*3:正直, そんな効果を狙うスケベ心を持ったら終わりじゃないかなぐらいに思ってます.

*4:相手の方が既に自分を把握しているというスタートラインで話ができるので, 初対面の人と話すのが苦手な自分にとって至り尽くせりだったりします.

*5:これは言うまでもなく, 「(他者からみて)中川さんならやれそう」と思ってくれないと打席が回ってこないことであります.

*6:自分が宣言したことを実現したという有限実行が成立したのと, このエントリーがキッカケでデブサミに登壇したまでの流れが決定打になった気がします. そして今では逆に何もなさすぎてこわいです.

*7:これは仕事で書くような設計とか技術ドキュメントもそうなのですが, たくさんブログ・文章を書くと職歴や履歴書を書くトレーニングにも繋がるのでそういった意味でもオススメです.